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光害地で天体撮影17(NGC2237ばら星雲) [天体観測]

前回の二重星団の撮影後あまりにも空の状態がいいので、いっかくじゅう座に位置するばら星雲も撮影しました。
レンズの絞りを開放とし、ISO800への設定変更とスターリーナイトフィルターを使用し始めてから調子が良いです。更に画像処理もだいぶコツが掴めてきましたので、満を持して赤い星雲の代表的な天体にチャレンジしました。

NGC2237 散光星雲 (ばら星雲)
赤経 06h31m48.8s 赤緯 +04゚56'50" (J2000) 光度 6.0等 視直径 80.0'
blog0450c.jpg
2024/01/12 21h29m~
Nikon D50 AI AF Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4-5.6D(300mmf/5.6)
L41+STARRY NIGHT Filter
ISO800 178秒×16枚(総露出47分28秒) トリミング画角4.8°


赤い星雲が写らないと言われる無改造のカメラでも、適切な設定で複数枚撮影(RAWで)してコンポジットを行い適切な画像処理をする事によって、この程度は赤い星雲が写りました。

そもそも水素が発する赤い656.3nmの波長域は、カメラメーカー各社共にUV-IRカットフィルターでほとんどカットしています。海外のWEBサイトで見つけた透過グラフを読み取ると、その透過率はおよそSONY-14%、Nikon-22%、PENTAX-27%、Canon-29%、Fuji-44%ぐらいしかないようです。その中でもNikon機はかなり不利ですが、少ないながらも22%は透過しているので上記の写真のように、淡いですが写るのです。
もちろん改造機で撮られた写真と見比べると、だいぶ見劣りしますが、人間の目の特性からすると、これが本来の色合いに近いともいえるのではないかと思います。

一方、画像処理に関しては、無料ソフトのDSS(Deep SkyStacker)で、コンポジットなどの前処理を行い、後処理の方は主に無料ソフトのSiril (シリル)を使い、勾配補正、色補正、逆畳み込み、ストレッチ(MTF、Arcsinh stretch)等の処理を行っています。
なお、マスクなどをして特定の色(赤とか)だけを強調する処理等は好みではないので、一切していません。
また、ストレッチは、以前はステライメージ5のDDP(デジタル現像)を使っていました。ただ、星の肥大化防いでくれる代わりに星が暗くなり、低コントラストになってしまうので、その後の処理が私の技術ではなかなか上手くできず苦手でした。
その点、MTF(中間調伝達関数変換)ですと、星の肥大化は若干してしまうものの星が暗くならずコントラストが低下しないのでとても処理しやすいと感じています。
もし私のようにDDP(デジタル現像)後の処理が苦手な方がいらっしゃったら、一度MTFやArcsinh stretchを試されてもいいかもしれません。


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悠々遊

こんにちは
無改造カメラでここまであぶりだせたら御の字ですね。
私などそこまでのスキルが無いので改造カメラに頼ってしまうのですが、
本来目に見えていないものを無理に強調し過ぎるのも不自然に思い始めている今日この頃です(苦笑)。
by 悠々遊 (2024-01-18 09:37) 

ヒガラ

悠々遊さん、こんにちは、コメントありがとうございます。
無改造カメラでここまで写ればいいかなと思いますが、写しやすい明るい星雲の数は限られているため、やっぱり改造カメラで淡い星雲を沢山撮影してみたいなとも思います。

by ヒガラ (2024-01-18 20:11) 

ざなっく

初めまして。
光害地から光害防止フィルターを使って、丁寧にいろんな天体を撮影されているのですね、素晴らしい写真たちですね!
私も以前はベランダ天文台と称して、光害地からいろいろ撮っていたのですが、最近は遠征しての星景写真が主になりました。
でも参考にさせていただきたく、また素敵な星雲星団の写真を拝見させて下さい!
by ざなっく (2024-01-21 23:17) 

ヒガラ

ざなっくさん、コメントありがとうございます。
カメラ自体は19年前と変わらないのですが、光害地でもそれなりに写し出せるようになったのは、ここ最近の処理ソフトが優れてきたことによる所が大きいと思います。昔の「ステライメージ5」だけだと、私の技術では、ここまでにならないです。
by ヒガラ (2024-01-22 20:04) 

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